ROOM NO.1301 #4 お姉さまはヒステリック!(新井輝)[富士見ミステリー文庫]

ROOM NO.1301 #4

http://www.kadokawa.co.jp/fujimi/mystery/search.php?new=1&pcd=200410000046

 夏は、まだつづいていた。
 終わらない、ぎらぎらとした日差しが健一を照らし続ける。陽炎が立ち上る道は、どこか現実ではないような、白昼夢のようなけだるい感覚を起こさせる。
 こころが、どこかに行ってしまった――。
 そしてホタルも――。
 健一は思った。
 それは、自分の所為かもしれなかった。
 ホタルと健一は、お互いを求め合った。ただ、本能の赴くままに。好きという自分たちのこころに、素直に従っただけだった。
 だが、それは、二人の別離へとつながっていく。
 少しづつ変化していく健一の日常。そして新たにシーナと名乗るマンションの鍵の所有者が現れる……。時に可笑しくときに切なく描かれる、恋と愛との間で揺れ動く健一の物語、第四弾!

冒頭からライトノベル史上に残るんじゃないか、という位のエロエロ描写(笑)
このシリーズではそういうのよくあるんだけど、これだけ実際のHシーン本番をすっ飛ばしておいて、どうして事前と事後の会話だけでこんなにエロエロな話を書けるのか……ある意味天才的です(^^;

それだけに萌えるだけ萌えさせておいて、あの急落は参った。
主人公の健一同様、かなり凹まされました……

前巻で顔見せ程度に登場していた最後の主要人物(?)シーナも本格登場。
これまでのメンバーの中でももっともハイテンションな少年(?)も、また厄介な性的トラブルを抱えているようで……

4巻まできてようやくこのシリーズの作風と言うか、テーマが見えてきた気がします。
この作品の主要な登場人物はいずれも社会的・性的な異常者ばっかなんですな、一般的に見れば、ですが。
で、あるはずの無い13階はそういう人たちが心休まる逃げ場所なんだろうな、と。

彼ら、彼女らの悩みは簡単に解決するような代物とは思えません。
もしかすると一生悩み続けるしかない性癖かもしれません。
それでも、人間は生きていかなくちゃいけない。
大人になると言うことは、そうした悩みが全て解決する訳じゃなく、
どうしようもない悩みを持っていても、何とか社会と折り合って生きていける妥協点、強さを得る事なんじゃないでしょうか。

13階を卒業する時の彼らの結論と、そこに至る過程が非常に気になります。
最近読んでる中でも、1・2を争うほどに続きが気になる作品です……エロエロ描写も含めて(爆)