いろいろと

DADDYFACEメドゥーサ (4)
DADDYFACEメドゥーサ (4)伊達将範)[電撃文庫]

大人気アクション・ラブコメ、「メドゥーサ編」堂々完結!

元の世界に戻るためのリターンワードを手に入れた年の差9歳の父娘、鷲士と美沙。
だがゲートに向かう2人の前に、立ちはだかるミュージアムのハイキュレーター、ヴァン=バチスト=ギヨーム。
そうこうしてる内にも奇病メドゥーサは猛威を振るい、クレイトスの隠した核弾頭の爆破時間が刻一刻と迫る――。
シリーズ最大のスケールで贈るメドゥーサ編いよいよ完結!

とりあえず、このシリーズを読んでる誰もが思っていると思いますが……とにかく長過ぎ。
特にメドゥーサ編の2巻と3巻の間があまりに空いたので、途中打ち切り? と疑った人も多いのでは……
登場人物を出しすぎたんじゃないですかねえ。
ツーポイントとジェンキンスらは、名も無き工作部員や、敵の協力者程度でも良かった気もしますし(少なくとも因縁話まで作らなくても…)、樫緒の一行もストーリー的には省けたような。
本筋とはまったく関係のない麗華の心の動きをクローズアップしたのも、このストーリーの焦点を曖昧にしちゃった気がしました。

まあそれでも、アクション部分は今回も楽しめました。
デーモンとスプレイの助っ人コンビも良い味出してましたし、是非今後も時々で良いですから、ひょっこり出てきて欲しいです。


半分の月がのぼる空 (4)
半分の月がのぼる空 (4)橋本紡)[電撃文庫]

失った者と失おうとしている者の思いが交錯する夜――。

「もう里香には会うな、邪魔なんだよ、おまえは――」
里香の手術直後、主治医夏目の口から放たれた言葉に、裕一は戸惑う。
そして訪れたのは、生ぬるい日常。
あまりにも当たり前で、捉えようのない日々だけだった……。
一方、その宣告を下した夏目は、ずっと裕一を避けていた。
ヤケになった裕一がバカ騒ぎを繰り広げる夜、夏目は亜希子に自らの過去を語りだす。
大好評シリーズ第4弾、ついに登場!

横柄で子供っぽい名医師・夏目の過去話がメインでした。

裕一への接し方からして、何となく裕一に昔の自分を見ているんだろうなあ、というのは感じてましたので、ある程度予想通りの辛い過去話でしたが、それでもはっきり書かれると切ないですね。

当たり前の日常と辛い現実をあくまで淡々と、退屈でもなく、深刻になり過ぎず、いいバランスで描写できるのが、この作者さんの良さなんでしょうねえ。

どうにも裕一と里香の未来は悲劇が待っている事が確定的になったんじゃないか、と思わされる展開だったんですが、救いは無くても、ただ悲しいだけの結末にはならないんじゃないかな、と楽観……じゃないんですが、鬱な気持ちにはなりませんでした。

しかし、時々挿入される妙に詳しいプロレス豆知識ネタは、実は相当なプロレスマニア?
まあギャグとして面白いから良いんですけど(^^;


結界師のフーガ (3)
結界師のフーガ (3)(水瀬葉月)[電撃文庫]

絵馬は全てを懸けて戦いに挑む! 過去の悪夢を祓うために!!

妖怪がらみ専門の「逃がし屋」を営む逆貫絵馬。
彼女は、かつて自分が引き受けた仕事で取り返しのつかない失敗をしてしまい、倫太郎の両親を死なせてしまう。
そしていま、また幸せな家族が引き裂かれそうになっていた。
倫太郎の家族を救えなかった過去の悪夢を蘇らせないためにも、絵馬は結界師としての全力を尽くし、家族の幸せを分かつ者に戦いを挑む!
第10回 電撃ゲーム小説大賞<選考委員奨励賞>受賞作、第3弾!!

正直、1巻から何となくソコソコ、という印象ながら読み続けていたシリーズですが、今作が一番良かったなあ、と思いました。
幼少にして天涯孤独の身の倫太郎、絵馬の隻腕の真相など、初めてメインキャラたちの過去に関係した話だったのが良かったんだと思いますね。
1〜2巻まででキャラクターたちの性格・性質を作者も読者もちょうど掴んできた所だったんじゃないですかねえ。
だから作中で「らしくない」絵馬の様子とか、烏天狗が指摘してましたが、指摘するまでもなく、「らしくない」のが理解できましたし。
まあそれほど意外性のある話って訳じゃないんですけど、積み重ねてきた物語の一つの成果が見れた満足のいく作品でした。


私立!三十三間堂学院
私立!三十三間堂学院(佐藤ケイ)[電撃文庫]

女子高生ワンサカ登場の学園ラブ・コメディ!

両親が死んで遠縁の千住花音の家に引き取られる事になった後白河法行。
学校も転校することになったのだが、転校先の学校はちょっと前まで女子校で、男子は法行ただ一人……!?
しかも生徒会長がいきなり真剣突きつけて法行に交際迫ってくるわ、偶然再会した幼馴染はそんな会長に反発して反乱軍とか結成するわで、学院全体で大騒動が巻き起こる! どうする法行!?

絵と設定だけ見ると、よくある萌え小説かなあ、と思ったんですが……スイマセン、これ萌えません(^^;
いや、面白くない訳じゃー無いんですよ。
ギャルゲ的設定の女の子(ちょっと武闘系)が、主人公を巡って激しくバトルする物語な訳で、それはそれで面白いんですが、そのせいもあるのか、どうも主人公に媚びる感じが無いんで「萌え」は無いなあ、と。

前作の「ロボット妹」でも思ったんですが、この作者さんは物凄く「萌え」を勉強してると思います。
ギャルゲ的なツボな人気のでる設定に詳しいようです……でも、それだけって言うか。
最高の食材は用意できても、調理のコツがわかってないみたいな。
別に「萌え」に拘らないなら、今作のようなストーリーは面白いですし悪くないとは思いますが……見た目から想像しがちな「萌え」を期待するとガックリするかも。