君の居た昨日 僕の見る明日

君の居た昨日 僕の見る明日(1)―STARTING BELL―君の居た昨日、僕の見る明日(2) ―FAKE HEART―

「…はぁ」盛大なため息をつきながら、長居優樹は通い慣れた道をのろのろと歩いていた。とにかく学校へは行きたくなかった。学校でなければどこでもいい。此処では無い何処かなら…。そう思った優樹の目の前に、古い校舎と女の子が現れた!「君みたいな人が来てくれるのをずっと待ってたの」「…あ、あのっ!?」いきなり女の子に抱きつかれ、慌てる優樹に彼女は言った。ここは鈴乃宮学園。世界の何処にも行けないところ。この学園で、私と学園生活を送りましょう―!!果たして此処は何処なのか。そしてこの少女は!?優しい嘘が散りばめられた永遠の学園で、今、始業のベルが鳴る。


榊一郎作品は、デビュー作となった「ドラゴンズウィル」と中盤までの「スクラップドプリンセス」しか読んでおらず、久々に手に取った氏の作品でした。

手に取った一番の理由はやっぱ絵ですね(^^;
狐印さんの描く少女の絵に強く惹かれました。

内容については……1巻の時点では、これは本当に榊さんの作品なのだろうか、と思ったり。
私のイメージする榊一郎作品の一つに、達人キャラとその戦闘シーンってのが山場にある、というものがあって、それらしい描写が無かったのが意外でした。
2巻で登場したネレイドに関しては、ああ、これこそ榊作品のキャラだなあ、と思いましたが(^^;


未練を残した為に消える事が出来なかった学園。
そこに迷い込むのは、それぞれの悩みを抱え、孤立し、現実から逃げ出した者たち。
一同はこの嘘の学校で学生を演じながら、それぞれの悩みを解決して、やがって帰っていく物語……だと思います。

思いますって言うのは、現時点ではぜんぜん学校らしい事やってないですから(笑)
まだ生徒をだんだんと増やしてる段階っぽいので。


登場人物も、アニメやマンガの学校ネタに毒された幽霊少女やら、ちょっとした事で身体がバラバラになっちゃうスプラッタ4人娘やら、狐耳&尻尾の妖怪少女、戦闘アンドロイド少女、先生役のお姉さん保険医やら選り取りみどり(笑)

主人公はどこまでも中性的と言うか、良くも悪くも普通でいられる少年です。


まあ色んな少女が出てくるのはサービスって事もあるんでしょうけど、子供も大人も息苦しく思いながら生きてる人が多い昨今に出てる事は、作者からの何らかのメッセージなんじゃないか、という気はしました。

この「優しい嘘の物語」をどういう形で進んでいくのか楽しみです。