時空(そら)のデーモン めもらるクーク〜世話焼き悪魔の内縁物語〜(丸戸史明)

めもらるクーク


えらく久々に小説感想を書くのに、同人小説(それも昨年の夏コミ本)ってのもアレですが……
ふと思い出して、通販で最近買ったんで良いんです、ハイ。


作者は「ショコラ」シリーズ、「この青空に約束を―」の丸戸史明氏のオリジナル小説です。


主人公の三階俊介(みしなしゅんすけ)は三階クリニック院長という肩書きを持つ若き精神カウンセラー……と言っても万年閑古鳥が鳴く貧乏暮らし。
女子高生にして大家の苑宮空子(そのみやくーこ)に滞納している家賃の催促(じゃれ合い?)をされながら、噂を聞きつけてやってくる普通のカウンセンリングじゃどうしようも無い患者……悔やみきれない過去をどうにかしたい人たちに、“あるモノ”と引き換えに望みを叶えてあげる、というのが大まかなストーリーです。


難点を最初に挙げると、セリフだけの進行が多くて状況描写が足りてなくて混乱する部分が多々見られます。
これはゲームでも丸戸氏の持ち味である、掛け合い漫才を描くには間を空ける訳にはいかない為だとはわかりますが、何らかの改善を今後に求めたい。


その点を除けば、丸戸氏の作品全般が好きな自分には相変わらず楽しい作品でした。
甲斐性なしだけどどこか憎めない俊介と、お節介で世話好きで一途な空子のカップル(未満)の夫婦漫才はニヤリとさせられましたし、
まだ1巻という事で今回は出番少なめだけど、アクの強そうな脇役たちの存在とか、これぞ丸戸ワールドという感じがしました。


冬コミでは外伝の短編だったようでそのままショップ委託は無さそうなんで、早く続きが読みたいです……