パルフェ〜ショコラ second brew〜(戯画)

久しぶりに各キャラごとに語りたくなったんで、やや長文。
ネタバレを含むので、文章伏せます。


・玲愛
ツンデレっぷりに関しては以前に語ったので置いといて。

最初にプレイした時は主人公を取り巻く事情についてわからなかったので普通のカップリングとしか思ってなかったんですが、全体として見ると玲愛には悪いけど「ポスト里伽子」という失礼な見方も出来るわけで。

由飛ルートにてかすりさんが、仁は玲愛を選ぶんじゃないのかと思ってたと言ってましたが、表面上の性格は違っても、仕事上の重要なパートナーを失っていた仁としては、是が非でも真のファミーユ復活の為に欲しかった人材だったんでしょうね。

……こう書くと仕事の都合で女を選んだ失礼な男にも思えますが、流石にそれは無意識だったと思います。
人間、やっぱり困難に陥った時に差し伸べられる手ってのは、後光が射して見えるもんです……アクション映画とかで主人公とヒロインが絶体絶命の窮地で愛が芽生えるような感じで(^^;

玲愛ルート内でも最初にアタックしたのが玲愛だったから選んだような話になって、玲愛自身やや憤慨してましたが、他のヒロインがやや尻込みしてたそのアタックっぷりが、彼女の勝因だったのは間違いないと思いますね。

まあ彼女は仁を取り巻くヒロインたちとの関係を知りえない存在だった事もあるんでしょうけど。

各ルートで見せる里伽子の策略の中でも、ここではかなり凶悪な策を実行させられた辺り、里伽子は仁が自分の代わりに玲愛を求めた事に感づいていたせいじゃないでしょうか。
本来なら一番歓迎すべき相手だったと思いますが、そんな事情を知らずに離れても愛が続くと信じきってる甘えたの玲愛と、自分の代わりを見つけた仁へのささやかな復讐……それでも上手くいくようには計算している。
里伽子の屈折っぷりを垣間見るシーンだったと思います。

由飛との関係については由飛がメインだったので、由飛の項で書きたいと思います。




・恵麻
甘やかし系姉としては「秋桜の空に」のすずねえは最高峰だと思ってますが、それに負けずとも劣らない病的なまでの甘やかしっぷりはお見事。
序盤はしっかり姉萌えの私は転がりまくりました……甘やかし姉=ショタは基本ですよね!?(笑)

ただ彼女のシナリオとしてはどうだろうか。
里伽子の話と表裏にある関係を考えると、里伽子ルートが良かったと思う人ほど、彼女の甘え、依存っぷりのズルさが許せないかも。

しかしまあ、間違いなく今作品のヒロインの中では最長期間、ただひたすらに仁を愛し続けて、仁の性格形成にも大きく関わったであろう彼女にしてみれば、最愛の人であり、最愛の弟であり、最愛の息子のような気持ちもあった事は容易に想像できます。
仁をフる、苦しめるような女なんて、普通なら憎みまくっても良い位じゃないでしょうか。
それでも尚、仁の心は里伽子にあると知れば、自分の想いなど封じ込めてでも里伽子に仁との仲を取り持とうとする……この辺りは、親心に近いものがあったと思います。
そこであった里伽子の拒絶の言葉と、封じていた女の気持ちを抉った言葉。
恵麻の女としての一面、ズルい女な部分が噴き出しちゃっても仕方ないだろうなあ、と。

後、一人への想いは愛情じゃないですよね。
あれは理解者、誰にも言えない共通認識の持ち主への親愛の情他ならないと思いました。
一人が死んで錯乱した時、彼女は“矯正”という言葉を使ってました。
本編中でははっきりと明言してない部分ですが、一人もまたズルい手を使って恵麻を手中にしようとしてたんでしょうなあ。
仁の恵麻への想いを知ってれば、ここまで出来なかったとは思いますけど。

一人も恵麻もズルい人間です。
でも、そんなとこが私には人間らしい感情だな、とむしろ好感を持てました。
人間、聖人君子ばかりじゃないですし、欲ってのは悪い事ばかりでなく、意欲、生きる上での目標、原動力にもなる代物でしょうしね。
ただ、その裏に潜む生々しさをこうした物語で感じると、嫌な気持ちのなる人もあるでしょうし……里伽子ルートが感動的なだけに、対比として良くないと感じる人もいるかもしれませんね。

それと、やっぱり駄々甘姉ってのは、やっぱりギャグにしか相性が悪いと思います。
シリアスになると、どうしても狂気じみた印象が強くなっちゃうので……




・かすり
お気楽な人と見せかけて努力・コンプレックスなNO.2、器用貧乏な人。
近くの天才(姉)から離れても、結局は天才(恵麻)の下に行ってしまうのは宿命なのか、自業自得なのか……
本編中では絡みは少なかったですが、身近な天才に悩まされ続けた玲愛なんかは、割り切って付き合えてた彼女となら悩みを共有できたかも。

本編中でも言われてましたが、こういう人ってどんなチームでも、一人いると本当に大きな貢献してくれるんですよね……地味なんで損な役割になりがちですが。

努力を重ねつつも、そうした状況にある程度は納得してたはずが、恋が彼女を狂わせてしまったと言うか……仁はオールラウンダーな彼女の方を評価してた訳で、やってる事は正直、はた迷惑なだけだったり(苦笑)

終盤、キュリオに移籍しちゃう件は流石に展開が急過ぎ、強引過ぎだとは思いましたが、ラストのマイクパフォーマンスでの告白合戦が馬鹿馬鹿しくて素敵でした(^^)


かすりさんが地味なせいもあってか、このルートではむしろ超姉対決の方が印象強かったりする訳で。
シスコン姉VSブラコン姉は中盤最大の見せ場です(笑)



・明日香
……小悪魔ちゃん?
全てにおいて年相応と言うか、可愛くて、計算高いけど子供らしく詰めが甘くて、幼さの中に少し女を感じさせてドギマギさせて、仁を独り占めできないと癇癪起こしたり……

この娘を見てて「若いって良いなあ」と思った時点で、ジェネレーションギャップ感じまくり(汗)





・由飛
天然天才娘。
パッケ絵になる位だし、表向きはメインヒロインなんだとは思いますが……なんと評価していいものか。

オーダーなどを歌いながら喋るとこは、声優さんの演技も含めて魅力的というか、楽しく聴こえて設定通りだったと思います。

……でもスイマセン。私、このキャラは脇役としてはアリだとは思いますが、ヒロインとしてはちっとも心惹かれませんでした。

この手の物語では、中盤からヒロインの抱える問題が出てきて、それを乗り越えてハッピーエンド、というのが大まかな流れだとは思いますが、それが由飛の場合、妹の失敗をトラウマにして引き継いてる、という話に呆然。

解決にしたって、肝心のヒロインは何も出来ず、玲愛が頑張るしかなかった、由飛の勘違いだと言う事を証明する、と言うのも……

なんて言うか、玲愛じゃなくてもこんな姉は勘弁してくれ、って感じです(汗)

ロクすっぽ練習しなくても超一流の演奏ができて、凡人の玲愛は劣等感感じまくりだし、躓いたら躓いたで、やっぱり玲愛に迷惑を掛けてるという、歩く迷惑マシーン(−−;

私としては、やっぱりかすりさんのように、凡人であっても努力を重ねて成果を出してみせる人の方が、見ていて楽しいです。
あるいは天才ではあっても、努力もしているという描写が欲しかったかなあ。


……しかし、由飛ルート以外ではあのトラウマの問題をどうしたんだろうか。
あのまま退学になってたら、ファミーユにはいられないだろうし……謎です。




・里伽子
影のヒロインって言うか、シナリオ的には明らかにド本命のメインヒロイン。

プレイ後に、彼女の左腕に対する伏線はいくつあったんだろうか、と思いつつ読んでいても数え切れないほど伏線を張っていた、その事に気付かせなかった、という点で凄いの一言です。

他のルートが比較的明るめで、それほど重い話が無かっただけに、最初に里伽子BADルートを見た時の衝撃は凄まじいものがありました。

冷静に考えてみれば、里伽子の負傷の問題は里伽子本人の問題です。
里伽子自身も当初は、そんな恩着せがましい考えでは無かったと思います。

しかし彼女の場合、手術・障害と言う過程の中で、家族第一主義の仁が許せなくなってしまった。
仁を想うがあまり「ワガママ」になれなかったのが、全てを拗らせてしまった原因だったんだと思います。

手術の頃に仁と交わした一回だけの会話。
姉に付いていないといけないから、と言われたあの時に、恥も外聞も無く全てを打ち明けれてたらなあ、と。

まあタラレバを言っても仕方ないですが、火事の一件の以前でも、大学からファミーユまで常に一緒にいたのに、あくまで彼からの告白を待っていた、という点からしても、クールなイメージとは違って、酷く臆病な人間だったんじゃないかな、という気がします。

頼られるのが好き。
それは事実だとしても、頼る事で嫌がられないか。
面倒な女だと嫌われるんじゃないか、という想いが彼女の奥手っぷりになってたんじゃないでしょうか。



里伽子のルートでは悪者っぽいポジションに置かれる恵麻さんですが、彼女は里伽子の左腕の事は流石に知らなかった、と思います。
いくら弟命の彼女でも、障害を承知でチーフに戻って欲しい、とお願いするとは流石に思わないですし……



まあ彼女の行動の是非はともかく、一つのストーリーとしては今作品最高でした。
BADルートで重い真相を明かし、Goodルートで明るい未来“だけ”を描き、Trueルートで明るい未来への“過程”を描いた。
話の筋としてはTrueルートさえ見れば良いんでしょうけど、真相を知ってから里伽子のこれまでの行動の伏線を、プレイヤーに追体験する事で、彼女を見つめなおして欲しかったんでしょうね。
BADルートではアッサリと事態の重さに耐えかねた仁が、Trueルートでは躊躇いも無く里伽子へ再挑戦していたのは、仁=プレイヤーという視点で見れば納得が行きますから。




事前に里伽子ルートは最後にした方がいいよ〜と教えてもらっていて幸いだったかなあ、とプレイを終えた後で思いました。

何せ里伽子ルートでALLクリアしたのに、再度全てのルートをALLクリアさせられましたから(爆)

どのルートでも出てくる里伽子ですが、真相を知った上で読み直すと気が付かなかった伏線、彼女の気持ちが滲み出ているのがわかるようになってるんですよねえ。


ありきたりな喫茶店物のADVで、ここまで奥が深い作品を作ってしまえるスタッフ一同には本当に感謝の言葉を送りたいです……


ちなみに好きなキャラ順は、恵麻、里伽子、玲愛、かすり、紬、明日香、瑞奈、板橋、由飛……って感じで。

シナリオにはちょっと難あれど、あれほどの極上駄々甘お姉ちゃんは希少です(笑)
里伽子はシナリオの出来の良さもですが、何気に黒い策士っぷりの方が好き。
玲愛は……殴られてみたい(爆)
かすりさんは好きと言うより、妙に共感する部分が多かった。



紬さんと瑞奈さんも攻略できる追加ディスクはマダー?(ォィ